「エコー下筋膜リリース治療」について
最近の研究で、トリガーポイント(押すと痛みが広がる、しこりのようになっている部分)は、筋膜(筋肉を包んでいる膜)の上にあることが明らかになってきました。さらに筋膜が癒着して厚く重み積なっている部分には、特に高い確率で存在することもわかってきました。筋膜は動かないことや使いすぎによって、癒着したり、伸長性が低下したり、刺激に敏感になったりして、痛みや可動域制限など症状を起こすことが知られています。
このトリガーポイントによって引き起こされる病気を筋膜性疼痛症候群(MPS)言いますが、この病気は、採血、レントゲン等の検査でも異常が認められません。
近年筋膜の異常は、超音波診断装置(以下、エコー)を用いることで、エコー画像上で白く厚みを持った帯状の像として観察できるようになりました。
エコー下筋膜リリースとは、エコー(超音波)を用いて、この筋膜が厚く重積している部分を確認しながら、その部分に薬液や生理食塩水を注入することによって癒着を剥がす治療法です。イメージとしては、何枚も積み重なった薄いラップのすき間に水を注入し、1枚ずつ剥がしていくような感じです。
一般的に、トリガーポイントブロック注射はトリガーポイントを解消する為に筋肉に直接、局所麻酔注射を打つものです。筋膜リリース注射では、筋肉に直接、局所麻酔薬を注入するのでなく、筋肉を覆っている筋膜下、あるいは他の筋膜との間に薬液を注入することによって、癒着をはがし重積した筋膜を伸ばします。
また筋膜だけでなく神経、靱帯、関節包といった組織も同様に繰り返す炎症により周囲組織と癒着していたり発痛物質の出現が多くなっていることが知られておりこのような組織でも生理食塩水を使ったエコーガイド下ハイドロリリースが可能です。
生理食塩水を用いたハイドロリリース注射のメリットは以下の通りです。
- 神経の近くでも施行できる。
- 血圧低下等の合併症がほとんどない。
- 妊婦、小児にも施術できる。
- 薬液によるアレルギー反応の心配が少ない。
適応
- 肩こり首こり、腰痛など、筋肉や骨格系の慢性痛
- 靱帯炎、筋膜炎などのスポーツ障害
- 肩関節周囲炎、腱鞘炎などの慢性疾患
- 坐骨神経痛、手足のしびれなどの抹消神経障害
筋膜リリース注射の合併症
エコーガイド下に施行し安全な薬液を使うため合併症の発生率は極めて少ないですが以下の合併症が起こりえます。
- 血管穿刺による出血・血種
- 針による神経損傷
- 穿刺部からの感染症
- 注射後の穿刺部痛
- 気胸の発生
筋膜リリース注射の手技は数分で終わりそのままお帰りいただけます。患者様の身体的負担も軽いため画期的な治療法として昨今注目されています。肩こり・腰痛をはじめ、筋肉や骨格系に痛みのある方、スポーツ障害でお悩みの方、神経痛の方などで筋膜リリース注射ご希望される方はご相談ください。
筋膜リリースの費用に関しては診察時医師にご相談ください。